社会保険完備を構成する4つの保険とは?パートが加入するメリットなど解説

就職・転職ノウハウ

転職活動をしているとき、求人情報でよく目にする「社会保険完備」という言葉。単に正社員として就職すれば必ず社会保険に加入するということだけでなく、くわしい意味があります。また社会保険に入れるのは、正社員だけとは限りません。

この記事では、社会保険完備という言葉の正しい意味や社会保険に該当する4つの保険について、そして社会保険に加入して働くメリットなどについてご紹介します。

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社会保険完備とは?

求人情報などによく記載されている社会保険完備という言葉は、「健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の4つの保険すべてに加入する」という意味を持っています。これを逆に言うと、4つの保険すべてに加入できない場合は社会保険完備という言葉を使用してはいけないということを指します。また「社保完」と略して表記される場合もあるため、求人情報を確認する際は「社会保険完備」または「社保完」という文言を探すようにしましょう。

社会保険完備と書かれている場合の4つの保険の内訳

  • 健康保険
    健康保険は、加入者が病気になったりけがをしたりした場合、医療機関の受診時にかかる料金をあらかじめ定められた負担割合(おもに3割)で支払うことで、全額負担を回避できる保険です。職場で加入するものには「組合健康保険」や「協会健康保険」などがあり、自営業や個人事業主が加入するのが「国民健康保険」です。職場で健康保険に加入する場合、保険料は標準報酬月額に沿って決定され、給与から控除されます。
  • 厚生年金保険
    20歳から60歳までの国民すべてが加入する国民年金保険がありますが、厚生年金保険はそれに上積みする形で老後に年金の給付が受けられる年金保険です。給与額で保険料が算出されますが、その半額は職場が負担してくれるため、保険料が割安になるメリットがあります。厚生年金保険料も、月々の給与から控除される形で納付を行っています。
  • 雇用保険
    万一離職によって失業してしまったときに、再就職先に就職が決まるまでの間、失業給付金を一定期間受け取れる保険です。
  • 労災保険
    仕事中や通勤時のけがや病気、障害や死亡が発生した際、労働者本人と遺族のために保険金を給付する保険制度です。

社会保険の加入条件は?

職場は一定の条件を満たすと、各種社会保険の加入を義務付けられます。ここでは、社会保険への加入が求められる職場の条件についてご紹介します。

健康保険と厚生年金保険の場合

職場が以下の事業所の場合は強制加入と言って、いかなる場合でも健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられます。

  • 常時雇用する従業員が1人でもいる法人事業所
    (国や地方公共団体、事業主1名の事業所も含まれます)
  • 常時雇用する従業員が5名以上の個人事業所
    (特定のサービス業や農業・林業・水産業、宗教・士業は除外されます)

これ以外に、常時雇用する従業員が5名未満の個人事業所であっても、従業員の半数以上が社会保険加入を希望していれば加入が必要です。

雇用保険の場合

雇用保険は、法人・個人を問わず加入条件を満たす従業員が1人でもいれば加入が義務付けられます。

労災保険の場合

労災保険も同様で、加入条件を満たす従業員が1人以上いる場合は加入しなければなりません。法人や個人を問いませんが、国の直轄事業や官公庁は除外されます。

社会保険完備のメリットとデメリット

社会保険完備の職場に勤めるメリットとデメリットについても、押さえておきましょう。

社会保険完備のメリット

まず、高齢や病気・けがで働けなくなってからも給付金が支給されるメリットがあります。厚生年金に加入していれば老後の年金が上乗せ支給されますし、病気やけがで障害が残ってしまっても障害年金の給付が行われます。
また、所得税や住民税などの税金は本来ご自身で収入の申告を行い、収入に応じて決められた金額を自分で納付しなければなりません。しかし職場で社会保険に入っていればその納付を給与天引きの形で代行してくれるため、ご自身で納める手間がなくなります。
また、家族の扶養内ではなくご自身の社会保険に加入していれば、年収の上限や労働時間を気にすることなく仕事を続けられます。

社会保険完備のデメリット

デメリットはこれといってありませんが、強いて言えば給与から社会保険料が控除されることで手取り額が減ることぐらいでしょう。しかし加入のメリットと比較すれば、さほど大きなデメリットにはなりません。

社会保険完備の手取りをカンタン計算

社会保険完備の職場に勤めれば、社会保険料が給与から控除されます。つまり「額面の支給額」より「手取りの金額」が少なくなることになります。ここでは、手取りのお給料が総支給額よりどのくらい少なくなるのか、就職前でも概算で割り出せる方法をご紹介します。

給与の総支給額が「300,000円」の場合で計算すると、各社会保険の控除額は、健康保険が14,850円、厚生年金保険が27,450円、雇用保険が900円です。これで合計43,200円が控除されることになります。そこからさらに所得税や住民性が控除された金額が、手取りとなります。

一般的に、手取りは総支給額の75%から80%が目安と言われています。上記の総支給額300,000円であれば、手取りの目安を80%とした場合240,000円となります。
これにならって算出すると、総支給額250,000円の場合は手取り200,000円、総支給額270,000円の場合は手取り216,000円が目安です。このように、求人情報を見ながら表記された額面の給与に8割をかけてみて、実際に手取りの目安を計算してみると良いでしょう。

アルバイトやパートの場合の社会保険完備はどうすべき?

「自分はアルバイトかパートで働くつもりなので、社会保険には加入できないから関係ない」と考えていませんか? アルバイトやパートの従業員も、条件を満たすことでご自身の社会保険に加入できます。

パートやアルバイト従業員の社会保険加入条件

  • 勤務日数・時間が正社員/正職員の4分の3を満たしている
  • 一週間の所定労働時間が20時間を超えている
  • 1年以上雇用される見通しである
  • 501名以上の従業員がいる職場であるか、労使合意を満たしている
  • 年収が106万以上である
  • 学生アルバイトではない(夜間学校や定時制に通う学生には例外措置あり)

ただしパートやアルバイトで働いている方でも、ご家族の扶養に入っている場合は社会保険に加入することで自己負担が増える可能性があります。よく「130万円の壁」と呼ばれるように、扶養内のパート労働者の年収が130万円を超えると、扶養から外れてご自身の社会保険加入を求められます。このため、扶養内でパートとして働き続けたい場合は勤務日数や勤務時間で調整を行い、年収130万円以内に収める必要があります。

パート・アルバイト従業員の方でも、ご家族の扶養に入っていない場合は可能な限りご自身で社会保険に加入したほうが安心です。扶養外のフリーターの方は、就職先・転職先を探す際に「社会保険完備」の表記に注目して職場探しをすると良いでしょう。

まとめ

社会保険に関する、意外に根強い誤解が「社会保険は正社員だけが加入でき、パートやアルバイトは社会保険に入れない」というものです。そのようなことはなく、実際にパートでも数多くの方が、条件を満たすことで社会保険に加入し働いています。
将来の年金のことや、病気やけがをしたときのことを考えると、ご自身の保険に入れるなら入っておいたほうが良いでしょう。転職活動の際にも「社会保険完備(社保完)」の文字を必ず確認し、できるだけ安心して働ける職場を見つけましょう。ただし社会保険に加入せず、家族の扶養内でパートとして働きたいという希望があれば、応募時にそれを伝えておいたほうが良いでしょう。勤務時間や日数について、調整するなど配慮してもらえます。

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