2020年08月04日

エーミングとは?作業内容や必要な工具・環境について

エーミングとは、車の安全走行に重要となる調整作業の一つです。衝突被害軽減ブレーキなどが普及した現在の自動車業界では、欠かせない作業となりつつあります。

ここでは、エーミング作業とは何かといった基本をはじめ、エーミングの主な作業内容や必要な工具、作業環境、エーミングにかかる費用などを解説します。

エーミング作業とは?

そもそも、エーミング作業とはどのようなものなのでしょうか?エーミング作業と関係するASVの解説も交えながら、確認していきましょう。

エーミング作業はセンサーのズレを修正する校正作業のこと

エーミング作業とは、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装置を正しく作動させるための「校正作業」のことをいいます。

先進安全装置にはいくつかのセンサーが使われていますが、事故による衝撃や飛び石によるフロントガラス交換などを行なうと、センサーがズレてしまいます。そのセンサーのズレを修正するのが、エーミング作業です。

現代の車は先進安全装置が搭載されていることが多く、エーミング作業は車の修理とセットで欠かせない作業となっています。

ASVとは

エーミングとは?作業内容や必要な工具・環境について

ASVは「Advanced Safety Vehicle(アドバンスド・セーフティ・ビークル)」の頭文字を取ったもので、先進安全システムを搭載した自動車のことをいいます。

ASVの先進安全システムの例を挙げると、以下のようなものがあります。

  • 衝突被害軽減ブレーキ
  • ふらつき注意喚起装置
  • 車線逸脱警報装置
  • ACC(定速走行・車間距離制御装置)

安全運転をサポートするこれらの装置を正常に動作させるには、エーミング作業が欠かせません。

エーミングの主な作業内容

エーミングの主な作業内容ですが、先進安全装置のセンサーと関連する作業に付随します。例えば、飛び石被害などが原因でフロントガラスを交換した場合、ただ交換するだけではなくエーミング作業も行ないます。

フロントガラスの場合は、衝突被害軽減ブレーキなどに使われる「カメラ」をエーミング(校正)します。エーミングせずにガラスだけ交換すると、カメラへの写り方が変わって、正常に動作しない可能性があるからです。

バンパーの補修や交換を行なった場合は、超音波センサーをエーミングします。これは、センサーの角度や高さが基準値内に収まっているかを確認するためです。

つまり、先進安全装置のセンサーに影響する補修作業を行なった場合は、エーミング作業も同時に必要になるということです。

エーミングに必要な工具・作業環境

エーミングは精度を追求する作業なので、工具や作業環境の整備も重要です。ここでは、エーミングに必要な工具や作業環境を解説します。

必要な工具

  • ターゲット・リフレクター
  • スキャンツール(外部診断機)
  • 水準機
  • 角度計
  • 整備書(各自動車メーカー)
  • アライメント測定器

ターゲットやリフレクターは、カメラに読み込ませるための標的です。メーカーや車種によってターゲットの配置やサイズに規定があるので、車に合ったものを用意しましょう。

スキャンツールは車の車載診断機につなぐためのツールで、エーミングはこのスキャンツールから実施します。

水準器や角度計は、センサーの中心を出したり角度を測ったりするのに使います。整備書はターゲットの位置などが記載されているので、必須アイテムです。

最後のアライメント測定器ですが、実はエーミング作業の前にアライメントを調整することが推奨されています。アライメントが狂っていると、センサーの校正にも影響をおよぼすからです。

できる限り、エーミングの前にアライメント測定器でアライメント修正を行ないましょう。

作業環境の確保

エーミングとは?作業内容や必要な工具・環境について

必要な工具が準備できたら、次は作業環境の確保です。
エーミング作業を行なう際には、以下のような場所を確保しましょう。

  • 水平、無風、指定された床の広さが確保できる室内
  • 周囲および路面に反射物や光沢物がない明るい室内

エーミングは精度が重要なので、水平かつ無風の環境でなければなりません。また、指定された床の広さがないと、ターゲットを正確に置けないなどの問題が発生するため、比較的広い環境が必要になります。

反射物や光沢物があってはならないのは、カメラやセンサーが間違えて検知する可能性があるためです。オイルの缶など光を反射しやすそうなアイテムは、作業環境から片付けておきましょう。

ちなみにミリ波レーダーを調節する際は、反射物・光沢物でなくても電波を反射する金属類の設置はNGです。

新制度への移行

エーミングは、先進安全装置の登場とともに出現した作業です。そのため、まだ法整備が追いついておらず、新制度への移行が検討されています。

前述のとおり、エーミングは先進安全装置を正常に働かせるための重要な作業です。通常、このような重要作業は道路運送車両法の定める「分解整備」に当てはまりますが、エーミングは分解整備の定義に含まれていません。

そのため、分解整備が承認された整備工場でなくても、取り外しをともなう整備が可能なのが実情です。

しかし、不十分な設備や知識でエーミング作業をすると、先進安全装置が誤作動を起こしたり、作動しなかったりする危険性があります。
そこで検討されているのが、以下の「自動車特定整備制度」の認証なのです。

「自動車特定整備制度」による変更

自動車特定整備制度とは、分解整備の範囲を拡大したもので、自動運行装置(先進安全装置)を分解整備の範囲に含めた新制度です。

「分解整備」は地方運輸局長の認証を受けた工場(認証工場)でなければ行なえないため、範囲が拡大された場合、認証工場以外はエーミング作業ができなくなります。
つまり、「安全性を担保できる認証工場のみエーミング作業ができる」ことになり、より安全性が増すということです。

分解整備から名称の変わった「特定整備」とは?

エーミングにかかる費用

エーミングにかかる費用は、どのセンサーをエーミングするかにもよりますが、およそ6,000~20,000円が相場です。結構な幅がありますが、これはエーミングする際の工数によって変わってきます。

例えば、フロントカメラのエーミングはターゲットの配置など工数が多いため、相場の上限に近い価格帯になる傾向です。
一方、バンパーの超音波センサーのエーミングなどは工数が比較的少ないため、相場の下減に近い価格帯になります。

エーミングにかかる費用は、依頼する修理工場によって変わってきますので、エーミングを依頼する場合は、料金を確認するようにしましょう。

おわりに

今回はエーミング作業について解説してきました。
エーミングとは、先進安全装置を正常に作動させるための校正作業のことをいいます。先進安全装置を搭載した車は今後さらに増えていくことが予想されるため、ますますエーミングの需要は伸びていくと考えられます。
今のうちからエーミングについて知識を深めておくと、今後の自動車整備に役立つのではないでしょうか。