ディーラー整備士は、無料点検や車検といったお客様の自動車を整備する業務がメインとなっています。カーディーラーや民間整備工場などさまざまな場所で活躍でき、資格を取得すると長く働くことが可能です。この記事では、ディーラー整備士について仕事内容やメリット、民間整備工場との違いをご紹介します。
ディーラーの整備士とは?
そもそもディーラーとは、カーディーラー・自動車ディーラーとも呼ばれ、特定の自動車メーカーやメーカー系の販売子会社と特約店契約を結んでいる事業者(メーカーの正規販売店
のことを指します。そのため、契約を結ぶメーカーの車や特定ブランドのみの新車・中古車を取り扱っています。たとえば、トヨタなら「トヨタモビリティー」「トヨペット」「カローラ」「ネッツ」、ホンダなら「Honda Cars」、日産なら「日産プリンス」などがディーラーとして挙げられます。
そして、ディーラーで働く自動車整備士は「ディーラー整備士」と呼ばれています。一般的には、ディーラー、もしくは民間整備工場で働くケースが多いです。ディーラー整備士は自動車の定期点検や車検のほか、修理などを対応することもあるため、自動車整備士の資格を取得しておくことが求められる職種です。
ディーラー整備士の仕事内容
ディーラー整備士の仕事内容としては、販売した自動車のアフターメンテナンスがメイン業務です。無料定期点検や車検など依頼を受けたお客様の自動車を総合的にチェックし、必要があれば修理やパーツの交換といった整備も行います。
また、お客様に車の状況をわかりやすく説明することも重要な業務のひとつです。点検や車検の日程はあらかじめ決められているため、基本的にはスケジュールに沿って作業をこなします。しかし、故障した自動車の修理やパーツ・部品交換などの依頼が突発的に入るケースもあります。
メーカーと契約を結んだディーラーでは、高い知識・技術はもちろん、接客やサービス品質などもメーカー水準に達するようにメーカーから指導を受ける場合がほとんどです。アフターフォローの範囲は場所によって異なりますが、ディーラー整備士は安全に自動車に乗れるように総合的な点検・整備を行う重要な役割を担っています。
民間整備工場の整備士とディーラー整備士との違い
民間整備工場の整備士とディーラー整備士の大きな違いとしては、対応しているメーカー、業務範囲、休日が異なります。それぞれ表で比較してみましょう。
ディーラー整備士 | 民間整備工場の整備士 | |
---|---|---|
対応メーカー | 販売契約を結んでいるメーカーの車のみ対応可能 | 国産車・輸入車問わず、あらゆるメーカーを対応可能 |
業務範囲 | ・基本的に板金・塗装は対応しない(一部例外あり) ・車検・点検・整備業務のみ担当する |
・簡易的な板金・塗装を行う事もある ・営業・受付・納車、お客様対応まで幅広い業務を整備士が行うケースもある |
休日 | 基本的には土日祝日営業、平日休み | 工場にもよるが、土日休みを取るケースも多くなっている |
ディーラー整備士の場合、基本的に特約店契約を結んでいるメーカーの自動車整備や点検、車検を対応します。そのため、特定のメーカーに関する知識や技術を身につけたい方におすすめです。一方、民間整備工場では国産車・輸入車を問わず、さまざまなメーカーの車を対応するため、他では対応できない車種や外車など、幅広く携わります。
業務範囲については、民間整備工場はディーラーと違って、板金・塗装業務やお客様対応も担当することがあります。また、小さな工場では整備士自身が営業や受付、納車、その他お客様対応を行うことも珍しくありません。
休日に関しては場所によって変わりますが、ディーラーは基本、平日に定休日が設けられており、土日祝日も営業していることが多いです。一方、民間整備工場は土日に休みを取るケースが多くなっています。
ディーラーと民間整備工場は、それぞれ仕事内容や働き方が異なる部分があります。どのような業務を経験できるかは工場によっても違うため、どんな経験をしたいか、仕事や携わりたいメーカーなどを考えて就職先を決めると良いでしょう。
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ディーラーの整備士になるメリット
ここからは、ディーラー整備士として働くことにどのようなメリットがあるかご紹介します。
研修が充実している
ディーラーでは契約を結んでいるメーカーのみの対応になるため、そのメーカー独自の高度な知識や技術を学ぶことになります。そのほか、接客対応やサービスの質をメーカー水準に満たすために直接指導を受けられるなど、研修体制がしっかりしていることが多いです。特定のメーカーのファンである方にとっては、最先端技術を学ぶ機会を得られるため、より魅力的といえるでしょう。
特に昨今は、電気自動車やハイブリッドカーといった最新技術を搭載した自動車が増えています。最新の自動車の知識・技術に触れながら経験値を積むこともできます。
給与や福利厚生が良い
自動車整備士として働く人の平均年収は400~450万円程です。年々需要が高まっている自動車整備士の中で、特にディーラー整備士はディーラー以外に就職する整備士よりも平均的給料が高いといわれています。令和4年度の調査によると、自動車整備業の平均年収は4,044,000円、ディーラーで働く整備士の平均年収は4,805,000円と、ディーラー整備士の年収が多少高くなっているという結果でした。
また、資格取得支援制度を設けているディーラーもあり、福利厚生が充実している場合が多いです。自動車整備業界を目指す場合、ほとんどの方が整備士資格を取得することになるでしょう。そのため、資格取得のための支援制度が設けられていることは大きなメリットとなります。しかし、場所によって給与の差や福利厚生の違いはあることは認識しておく必要があります。
出典:令和4年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について(p5)
設備の充実度
ディーラーは、民間整備工場とくらべて工場設備が充実しているという点もあります。整備業務や点検業務に必要な機器、工具などがそろっているため、急な故障時やパーツ交換への対応が可能です。設備の充実度が高い分、携われる業務の幅も広がり、サービスの質を保てるため、仕事がしやすい環境が整っているといえます。
ディーラーの整備士になるには
自動車整備士として働くには、自動車整備士資格を取得しておくのが基本です。無資格で就職できる整備工場もありますが、業務できる範囲が限定されてしまいます。また、ディーラー整備士として働きたい場合は無資格で応募可能な求人を出しているところがあまりないため、資格の取得は必須です。
自動車整備士の資格を取得するためには、専門学校に通って資格を取得し就職するほか、整備工場で実務経験を積みながら資格取得を目指して転職する方法もあります。資格の種類によって受験資格や必要な経験年数は異なるため、確認しておくようにしましょう。
自動車整備士の資格を取得する方法は、こちらで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
おわりに
ディーラー整備士は、自動車が長く安全に動くためのアフターフォローとして点検・車検・修理等の業務を担っています。ディーラーでは、最新の自動車についての知識・技術がアップデートされるため、そのような知識・技術に触れながら経験値を積めるのが大きなメリットでしょう。
ただし、ディーラー整備士になるためには自動車整備士の資格が必須です。そのために、まずは自動車整備士を取得しましょう。ディーラーには、資格取得支援制度を設けていることもあるため、そういった求人を探して、実際に自動車に触れながら資格取得を目指すのも1つの手段です。
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